東京大学大学院理学系研究科天文学専攻1995年度修士論文
友野大悟
中間赤外線では、 宇宙の重要な構成物質であるダストについて 有効な情報が得られる。 しかし、これまで中間赤外線で十分な感度のある観測はおこなえなかった。
われわれは、すばるでの高空間分解能と高感度の中間赤外線撮像観測を めざして、観測装置を製作している。 中間赤外線で長時間の積分をおこない、回折限界に近い像を得るには、 近赤外線での同時撮像をおこない、その像を用いて 大気ゆらぎや望遠鏡の誤差を補正することが必要不可欠である。
製作中の観測装置は、現在は近赤外線2波長同時撮像装置として機能している。 1995年秋にこれを用いて近赤外線の2波長での同時撮像をおこない、 像を補正した。 Kバンドを参照してLバンドの像をSHift-and-Addによって補正した結果、 6倍の信号雑音比の向上が見られた。
本論文では、 これまでおこなってきた近赤外線2波長撮像装置の製作と、 1995年秋におこなった観測とその結果について述べる。 また、この装置の中間赤外線・近赤外線同時撮像装置への拡張についても触れる。