日本天文学会1996年春季年会V22a


近赤外2波長同時撮像による大気ゆらぎの測定

友野大悟(東大理天文・国立天文台)、西村徹郎(国立天文台)
地上観測機器:撮像装置、赤外線、スペックル、すばる

われわれは、「すばる」での中間赤外線領域における 高空間分解能の撮像観測を目的とした装置(MIRTOS)の製作を進めている (1994年秋季年会X05w)。 現在、この装置は近赤外線の2波長同時撮像装置として機能している。 今回は、この機能を用いて、 1995年秋にアリゾナ州でおこなった大気ゆらぎの測定の結果を報告する。

大口径の望遠鏡で回折限界の像を得るためには、 中間赤外領域でも、像の大気によるゆらぎに対する補償が必要となる。 MIRTOSは、中間赤外線と同時に近赤外線でも同じ視野を撮像して、 それを参照して大気ゆらぎを補償する。 中間赤外線領域では、短時間の積分で得られた像を 大気のゆらぎによる天体の位置のずれを戻すようにずらして足し合わせていく、 シフト・アンド・アドという手法が有効である。 近赤外線で得られた像を参照することにより、 大気ゆらぎを補償する精度が高くなるだけではなく、 位置精度が向上することによって中間赤外線の長時間積分が可能となる。


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